サンケン技報は、省エネルギー社会を支えるサンケングループの最新技術や製品を紹介する技術論文です。
冊子での販売はしておりませんので、ご了承ください。
サンケン技報に記載されている技術は、製品に採用されているとは限りません。
本誌に記載されている製品は販売を終了している可能性があります。
No. | 論文 | 著者 |
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1 | 産業機器向けモータドライバ IPM SAM212M10BF1の開発 | 張 允寧 久我 泰祐 |
近年、自動車、産業機器市場では高電圧大電流モータドライバの需要が高まっている。 増える需要に対し、独自のプラットフォーム開発プログラムであるSPP (Sanken Power-electronics Platform) を適用しSAM2パッケージを開発した。 SAM2シリーズには、IGBT、Diode、ゲートドライバICなど必要な部品を搭載し、定格電圧650Vと1200V、定格電流10Aから50Aの複数の製品展開をしている。 今回は、定格電圧1200V、定格電流10Aで流動中のSAM212M10BS1からスイッチング特性とノイズ特性を改善したSAM212M10BF1を開発した。 | ||
2 | Spokeモータ向け音鳴り対策制御ICの開発 | 吉田 徹 |
エアコンファンモータ等に使用される高圧三相ブラシレスDCモータは、 小型高効率かつプライスダウンの要求に対応するため、従来のSPM (表面磁石型) モータから IPM (埋込磁石型) モータの一種であるSpokeモータへの移行が始まっている。 しかしSpokeモータは従来のSPMモータに比べて制御が難しく、音鳴りが発生しやすい。 この音鳴り抑制のためにベクトル制御などの高コストかつ高性能な制御を用いれば解決できるが、 従来型に比べてトータルコストの優位性が少なくなる。そこで、比較的低コストで実現が容易な 疑似正弦波制御を用いてSpokeモータを制御可能にするICを開発し、 課題となる音鳴りを改善することを実現したので報告する。 | ||
3 | 第三世代(Gen.3)1200V SiC-MOSFETの開発 | 田中 雄季 保立 倫則 |
太陽光・風力発電などの再生可能エネルギーの普及や、自動車のHEV/EVへの転換により、 機器の小型化や電力変換の高効率化が必要とされている。 このような中、当社ではSiに代わる高耐圧・高効率の材料としてSiC (シリコンカーバイド) を用いた パワーデバイスの開発を進めてきた。 Siに比べSiCは材料が高価であることや、結晶欠陥により歩留が低下することから、 市場拡大と参入のためには、チップの小型化が必要とされている。 そこでGen.3 SiC-MOSFETにおいて単位面積当たりの抵抗を2.5mΩcm2に低減した。 その結果50mΩデバイスにおいて、従来のGen.2 SiC-MOSFETに対し24%チップサイズ縮小を達成したので報告する。 また製品化に対しての技術開発や、今後の展望についても紹介する。 | ||
4 | SiC MOSFET Spiceデータを用いたIPM用ドライバICの開発 | 政所 隆大 |
EV・車載市場で使用される電動コンプレッサは、空調システムだけではなく、 バッテリ冷却システムにも使用されている。機能拡大される電動コンプレッサを駆動するモジュール製品には、 1200V耐圧/出力電流50AMAX/駆動周波数~40KHzといった性能が求められる。 この機能をIPM製品サイズで実現するには、パワーデバイスにSiC MOSFETの採用が必要不可欠である。 またこのSiC MOSFETを最適に制御するため、新規ゲートドライバICの設計が必要である。 本報告ではゲートドライバIC設計のため、SiC MOSFETおよびIPM製品で内包されるすべての寄生値をパラメータ化し、 そのデータを用いてゲートドライバICの設計・試作を実施、また試作品の検証結果を得たので報告する。 | ||
5 | 第二世代(Gen.2)トレンチSBDの開発 | 清水 公基 松本 将太 犬飼 早紀 |
ショットキバリアダイオード (SBD) は、金属とSiの接触により生じた電位障壁を利用したデバイスであり、 金属種 (バリア電極) を変更することで、用途に合った特性が得られる。 また、主特性である順方向電圧 (VF) と逆方向漏れ電流 (IR) はトレードオフの関係にある。 このトレードオフを改善するにあたり、トレンチ構造を有した第一世代 (Gen1)トレンチSBDがリリースされたが、 さらに、トレンチ設計、不活性領域の外周構造およびSub層を見直すことで、 低IRを維持したまま低VF化とプロセス工程削減を可能にした第二世代(Gen2)トレンチSBDを開発した。 | ||
6 | デジタルPMIC MD6801による微細プロセスSoC用高精度・低電圧・大電流電源システムの開発 | 中野 利浩 林 秀樹 中村 勝 |
自動車市場において先進運転支援システム (ADAS) や自動運転 (AD) の開発が急速に進められている。 ADAS・ADは自動化レベルが上がるにともない制御も複雑になるため、より高性能なSoCを使用することになる。 高性能なSoCを動作させるには高精度・低電圧・大電流の要求に対応できる電源システムが必要になる。 そこで車載ADAS用デジタルPMIC「MD6801」を用いて、出力電圧精度が悪化する要因となる、 オフセット誤差ならびに温度特性誤差を補正する手法をアナログ制御電源およびデジタル制御電源ともに構築し、 高精度な電源システムを開発したので報告する。 | ||
7 | xEV高圧バッテリー用コンタクタドライバLS1908の開発 | 大園 雄太 佐藤 清勝 |
地球規模の課題である気候変動問題の解決に向けて、世界的に車両のxEV化が加速している。 xEVに搭載される電池は、高電圧、大容量化が進み、xEVのBMS (Battery Management System) に使用される コンタクタもそれに耐えうる性能が求められている。 今回、当社ではxEV高圧バッテリー用コンタクタの駆動に特化したコンタクタドライバLS1908を開発したので報告する。 LS1908はコンタクタの発熱低減や接点溶着リスクの低減などに有効な機能を有している。 また、各社のBMS仕様、コンタクタ仕様に対応した動作モードが選択可能となっている | ||
8 | Web会議用LED光源開発の取り組み | 佐藤 充孝 佐藤 雅裕 |
新型コロナ感染拡大以降のニューノーマル社会において、テレワークの普及により多くの企業や団体でWeb会議をおこなう機会が増加している。 しかしながら、Webカメラを用いたオンライン会議で使用するLED光源の分光強度分布による顔の印象に与える影響について、 具体的な知見や十分な検証は得られていない。そこで、 当社の蛍光体技術を応用して開発した超高演色や赤み強調などの各種LEDを用い、大学の協力を得て、 Webカメラに使用するLED光源の分光強度分布が、撮影画像の顔の見え方に与える影響について評価した。 結果、ビビッドカラーと高演色LEDの評価点数が高く、一般的な演色評価数のLEDでは中間値となり、赤み強調のLEDでは低い評価点数となった。 | ||
9 | 高放熱モジュール SIM2パッケージ技術 | 境 春彦 Choi Jin Taek 前川 祐也 |
近年、カーボンニュートラル社会実現への要求が加速している。そのため、省エネルギーが強く要求され、半導体製品も貢献が求められている。 特に、白物家電はインバータ化が加速し、高圧三相モータドライバICには高効率化が求められ、同時に、小型化と低コスト化が求められている。 SIM2-151は、高電流密度化したFS-IGBTを搭載し高効率化を実現した。 さらに、放熱経路を見直しDBC基板を採用することで、放熱性を維持しつつ小型化も実現した。 また、端子数と端子配置を最適化し小型化と端子間絶縁性を両立させた。 | ||
10 | 車載用500V IGBTの開発 | 石井 孝明 |
近年、カーエレクトロニクス分野 (業界、製品等) の進化は目まぐるしく、エレクトロニクス製品の搭載はますます増加傾向にあり、 それを支えるのが車載用半導体素子である。当社では、車載用半導体素子として、自動車や自動二輪車に使用される、 点火コイル駆動用としてTO252パッケージに搭載した400V、450VのディスクリートIGBT製品DGUシリーズ (DGU4015G、DGU4020GR、DGU4520GR) を量産中である。 エンジンの熱効率向上の市場要求に応えるべく、IGBTの耐圧アップを検討した。 今回の500V IGBT開発では、高耐圧においても、きわめて安定した耐圧温度特性、低飽和電圧で十分な自己クランプ誘導スイッチングエネルギー耐量の確保について検討をおこない、 市場要求を満たす特性を実現した。 | ||
11 | IPM用S2J-MOSFET(ソフトスーパージャンクションMOSFET)の開発 | 安原 淳 |
近年、電子機器は小型化、大電流化、高速化の要求を受けて、搭載されるデバイスのさらなる高性能化が求められている。 その中で高耐圧素子であるスーパージャンクションMOSFET (以下、SJ-MOSFET) は、民生、産業、自動車など多岐の分野にわたり採用されている。 SJ-MOSFETは従来のプレーナ型MOSFETと比較して、耐圧とオン抵抗のトレードオフを改善し、オン抵抗を低減することが可能である。 しかし、その構造上スイッチング時の波形がハードリカバリーとなりやすく、ノイズが発生しやすい特性となってしまう。 今回、使用用途としてIPM用に特化し、従来のプレーナ型MOSFETと比較して低オン抵抗化をおこないつつ、 スイッチング時のノイズ発生を抑えた新SJ-MOSFET構造のS2J-MOSFET (Soft Super Junction MOSFET) の開発をおこなった。 | ||
12 | 純水水質の安定・最適化によるウェットプロセス品質改善 | 前野 美彦 |
石川サンケンDS総括部では、車載から白物家電まで、種々のウェットプロセス製品の製造をになっている。 ウェットプロセス製品はウェーハ段階から素子にいたるまで、エッチングおよび洗浄による表面処理にて製品特性出しがおこなわれるため、 この用に供する純水水質は、製品品質における非常に重要な要素となる。 当社製品が要求する純水水質を見極め、既存の純水精製工程の一部を再構築し、より質の高い純水の安定供給を実現とすることで、 ウェットプロセス製品の品質改善に寄与した。この純水水質および純水精製工程の管理運用方法について、本稿にて報告する。 |
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